VAZARI 1511-2011 UFFIZI
*[建築]ジョルジョ・ヴァザーリのウフィツィ:建築とその表現
外壁の赤い色が話題となった、九段にあるイタリア文化会館で開催中の、フィレンツェの建築家ジョルジョ・ヴァザーリ生誕500周年記念特別展。http://www.iicbelgrado.esteri.it/IIC_Tokyo/webform/SchedaEvento.aspx?id=394 ルネサンス期の建築家としては、日本ではあまり知られていないかもしれない。作品として知られているのはフィレンツェのウフィツィ美術館と言うことになるだろうか。ポンテ・ベッキオの2階を通り、ピッティ宮殿にいたる約1㎞のヴァザーリ回廊でよく知られている。1級建築士の計画の講習で航空写真などを使って説明したことがあるが、それほど出題されるものでもないかもしれない。
ヴァザーリの名前を知らなくても、ボッティチェッリのプリマヴェーラやヴィーナスの誕生、ティツィアーノ・ヴェチェッリオのウルビーノのヴィーナスなどは、見ればわかると言うことになると思うが、それらが収蔵されているのがウフィツィ美術館であり、その設計がジョルジョ・ヴァザーリということになるようだ。もっとも、磯崎新氏の講演によると、しばらくしてヴァザーリはお役御免なったようだが。
今回の展示でもうひとつのテーマが、このウフィツィ美術館新出口国際コンペの勝者である、磯崎新氏の作品についてである。会場では磯崎新氏の当選案のスケッチや図面が展示されている。このコンペにはノ-マンフォスター、ハンスホラインなどが参加して1999年に行われているが、歴史的な建物に現代の要素を付け加えるのはなかなか難しいようだ。その件について、約1時間ほど磯崎新氏が講演したが、イタリア国内では賛否両論、一筋縄ではいかないようだ。そもそも歴史的な街並みの中で、新しい時代を象徴するようなものを採用するコンペは無理があるのだろうか。
イタリア文化会館での開催は12日までだが、その後巡回展として横浜「象の鼻テラス」で開催される。http://enit.jp/blog/2011/09/post_89.html
■会場:イタリア文化会館(東京・九段)
■会期: 2011 年9月26 日(月)-10月12 日(水) 11:00~18:00(日曜休館)
■入場無料
巡回展(開催予定:横浜・京都)
■会場:横浜・象の鼻テラス
■会期: 10月25日(火)~11月5日(土))
*[脱原発+再生可能エネルギー]福島原発の闇・原発文化人50人斬り
標題は原発に関する2冊の本、これは以前新聞の書評に載っていたもので、原発の持つ非人間的一面を告発する「福島原発の闇」(水木しげる氏の詳細な描写が驚異的)http://www.asahi.com/special/10005/TKY201108160162.html、それから、原発推進をめぐる文化人(何を文化人とするかは微妙だが)が、如何に政治家や電力会社に操られまたは自ら進んで原子力推進の言動を行ってきたかを、実名を挙げて批判している佐高信氏の著作「原発文化人50人斬り」。
「福島原発の闇」は、原発下請け労働者として働き、その体験ルポを「原発ジプシー」として出版したフリーライター堀江邦夫氏の文、挿絵は「ゲゲゲの鬼太郎」の漫画家水木しげる氏。初出は「アサヒグラフ」1977年10月26日号・11月2日号に掲載されたルポ(原題「パイプの森の放浪者」)、実に32年前からこのような状態が続いていたわけである。
「原発の仕事も考えもんだ」という見出しで始まるこのルポは、以下のように続いていく。
1979年4月、一人の青年が死んだ。Nさん、32歳。東京電力・福島第一原子力発電所の正門近くの雑木林(東電所有地)のなかで死体となって発見される。地元の富岡警察署の調べによると、死亡推定日は発見される三日前、死因は縊死ということだった。彼には妻と幼い二人の子どもがいたが、家族とは半年ほど顔を合わせていなかったという。・・・・。Nさんは生前、東芝プラントの“孫請け”業者であるK建設の社員として、福島原発の保守・点検作業に従事していた。福島に来る前は静岡県の浜岡原発で働いている。・・・。
Nさんは一通の遺書を残していて、「○○子(妻の名)、子ども二人をたのむ」と言う妻への言葉の後、「原発の仕事も考えもんだ」と結ばれていたと言う。3.11の事故以来、原発の維持管理がこのような原発専門の下請け労働者の命と引き換えに行われていることが、徐々に明らかになっているが、32年前からその実体は延々と続いており、今現在もそのような状況は変わっていない。このアサヒグラフが出版された当時は、その後ずっと続いたように、原子力発電礼賛の風潮で埋め尽くされ、朝日新聞も原発推進の連載や出版をしていたそうだ。アサヒグラフはそんな中、原発特集記事をたびたび組んでおり、その記事はみな藤沢正実記者の担当だったそうだ。当時藤沢記者はアサヒグラフの解説で、以下のように述べている。
欧米でセンセーションを巻き起こしたという『原子力帝国』の中で著者ロベルト・ユンク〔ドイツの作家、未来学者。1913-94年。原子力によって、社会は強力な管理・警察国家に変貌すると警告を発した〕は核燃料再処理に従事する労働者に対して「放射線の餌食」と言う言葉を使っているが、原発の、特に下請け労働者も、労働力を売っているのではなくノルマ分の放射線を浴びることによって賃金を得ているのである。
そのような実体を知るに付け、ただ多少便利な生活、あるいは経営者の利益を守るために、過大な電力を供給する、そのために国民が危険にさらされ、第一線の現場では働く労働者の生命が危険にさらされ続けると言うのは、明らかに理不尽な話である。
次の佐高氏の本は第1章から第4章まであり、原発推進者だけでなく、「反原発の群像」として、忌野清志郎氏http://www.youtube.com/watch?v=cULXK48DUPg のように原発批判をしていたアーティストなども含まれている。ちなみに章立ては以下のとおり。
第1章 原発文化人と原発戦犯
第2章 反原発の群像
第3章 東京電力の歴史と傲慢
第4章 メディアと原発の危険な関係
基本的に実名、論鋒もかなり鋭いと言うか、おっとっと・・・。と言う感じなので、佐高信氏はかなりな覚悟で書いたのではないかと思われる、出版した毎日新聞社も頑張ったなあ、と言う感じだ。裁判必至か?と思えないことも無いが、すでに報道されたことだけを使って書いていれば、裁判でも勝てるのかもしれない。
いずれにしても、原子力発電に関してあまりに知らないことが多すぎたように思う。「無知は罪」である、かどうかは知らないが、物事を判断する上でこの程度は知っておいた方が良いのではないか、と言うことはあるはず。良く知り、少しでも正しい判断をしたいものだ(このような本には異論はつきもの、佐高氏についても⇒http://ameblo.jp/sataka/entry-10926571217.html、いろいろあって良い、と思う)。
*[days] イタリア文化会館
■昨日、イタリア文化会館に磯崎新氏の講演を聴きに行った。「ウフィツィ美術館の新出口コンペ」について、が主な内容。このコンペについてはイタリア国内でも賛否両論大変な騒ぎになっているらしく、磯崎氏に言わせれば、「事件」そのものが面白いのだと言うことのようだ。アーキテクトはプロジェクトを行い、プロジェクトは必ず事件を伴う、つまり、アーキテクトとは事件を起こす存在、と言ったようなことを話していたが、確かに「事件」にもならないようなプロジェクトはアーキテクトがかかわらなくても、適当に進むものなのかもしれない。そのことの良し悪しについて論評する気は無いが。イタリア文化会館の外壁が「事件」になったことは初めに少し書いたが、この建物の設計者は「ウフィツィ美術館の新出口コンペ」の招待建築家でもあり、外壁の色について磯崎氏にも相談があったらしい。磯崎氏いわく、「そのような攻撃に負けてはならない、あなたがその攻撃に屈したら私のウフィツィも負けになってしまう。」
それはそれとして、文化会館の入口にシュレッダーの紙切れアートがあり、なかなか面白かった。建物の入口に「ゴミ(?)」のアートを大々的に展示するあたりは、成熟した文化国家イタリアらしい。
■昨日は昼前後にかけて羽田空港に出かけた。空港と言うところにはほとんど行く機会が無いが(最近では、仕事で千歳空港に飛んだぐらいか)、羽田空港の建物はそれなりに明るいし空間も大きいが、移動するのは結構大変だ、特にお年よりは長い距離を歩くのはきついのではないだろうか。お店の配置もかなりわかりにくいような気がする。まとまっているような分散しているような、やたらと数が多すぎるような。屋上から沖縄行きの飛行機を見送ったが、搭乗口から飛び立つ滑走路が正反対の場所で、見送るために第二空港ビルの屋上の端から端まで早足で移動、やはり急いで移動してきたと言う人が沖縄行きの飛行機を屋上の端から見送っていた。
■ここのところで、仕事がチョッと「休憩」的になりblogを書いているが、実は計画案を作らなければならない仕事があり、一昨日も敷地をいくつか見て回った。このような時代にかかわらず土地の値段が下がらないような気がする。もちろん場所によってと言うことであるだろうが。
About this entry
You’re currently reading “VAZARI 1511-2011 UFFIZI,” an entry on udf weblog
- Published:
- 10.9.11 / 6pm
- Category:
- 建築
- Tags:
No comments
Jump to comment form | comments rss [?] | trackback uri [?]