鬼に訊け

*[cinema]鬼に訊け

 

 

法隆寺大工西岡常一棟梁の仕事を追ったドキュメンタリー映画。西岡常一棟梁については法隆寺の昭和大修理、薬師寺伽藍の復興に携わった宮大工として、建築にかかわるものは誰でも耳にしたことがあると思う。テレビの特集番組も過去に何度かあったが、映画として西岡常一棟梁の仕事を見ることができるというのは幸運かもしれない。大規模な伽藍と名人と言われる棟梁の仕事をじっくり見ることができる、予告編http://www.youtube.com/watch?v=fydWcQLpVtE の中でも見事な槍鉋の技を見ることができる。日本の木造建築は独特の魅力があると思うが、その魅力を作りだす一端を知ることができる良い機会だと思う。

比較的マイナーと思われる映画はモーニングショーと言うことで、いわゆる「好き者」がポツンポツンと観に来ることを映画館側は想定しているようだが、この「鬼に訊け」は出足好調で満員なる日も出るようで、上映開始後1週間にして、1日2回の上映になってい。平日でも満員になったようなので土日は結構混みそうだ。ユーロスペースのホームページとチラシに乗っている案内文の一部を、少し長いが引用しておく。

かつて鬼と畏れられた男がいた――
コンコンコン。ツーツーツ。鑿、鉋、釿。音を聞いただけで誰の音かわかる。まなざしは、祈りとも魂の叫びとも聴こえるその音に包まれ、慈愛に満ち満ちていた。「千年の檜には千年のいのちがあります。建てるからには建物のいのちを第一に考えなければならんわけです。風雪に耐えて立つ―それが建築の本来の姿やないですか。木は大自然が育てたいのちです。千年も千五百年も山で生き続けてきた、そのいのちを建物に生かす。それがわたしら宮大工の務めです。」西岡常一、明治41年奈良県生まれ。木のいのちを活かし千年の建物を構築する。法輪寺三重塔、薬師寺金堂・西塔の再建を棟梁として手がけ、飛鳥時代から受け継がれていた寺院建築の技術を後世に伝えた「最後の宮大工」。平成7年没。西岡は何を伝え残そうとしたのか…。
木は鉄を凌駕する、現代文化に対する西岡棟梁の静かなる反論。
1990年5月、薬師寺回廊第一期工事。西岡は最晩年にあたるこの時期、癌に冒されながら最後の教えを若者達へ授けていた。「千年の檜には千年のいのちがある」「木は鉄より強し」。速さと量だけを競う、模倣だけの技術とは根本的に異なる日本人のいにしえの叡智、そして明快な指針。千年先へいのちを繋いでゆくという途方もない時間の流れが、所縁ある人々へのインタビューから浮かびあがってゆく。監督にビデオ作品『宮大工西岡常一の仕事』『西岡常一寺社建築口座』の山崎佑次、ナレーターに俳優の石橋蓮司、音楽にNHK連続テレビ小説『ちゅらさん』挿入歌作曲の佐原一哉を迎え、法隆寺、薬師寺の空撮を敢行。永遠なるものへの想い、そして西岡の深淵なる最後のまなざしを捉えた本作は、日本人が顧みることのなくなった日本文化と想像力を揺り動かす、日本の心の復興を願う「祈り」のドキュメンタリー映画だ。

■会場:ユーロスペース http://www.eurospace.co.jp/detail.html?no=373

■会期:2012 年2月4日(土)~2012年3月10日(土)(終了日は未定)

■時間: 10:00~12:05(モーニングショー)2月11日(土)より12:20~14:00追加上映(1日2回上映)

■入場料:当日一般 1700円

*[原発+再生可能エネルギー]  ガラス固化体

2012年2月6日 東京新聞 こちら特報部

原子力発電は経済的な発電手段だと言われているが、何が「経済的」なのか、良く説明がされていないと考えられる。例えば、核燃料使用後の放射性廃棄物はどのようになるのか、その処理にどの程度のコストがかかるのか明らかにされないまま、原子力発電は行われている。さらに、放射性廃棄物の処理の試みに関するコストは何気に電気料金に放り込まれている、もちろん電気料金の内訳にその旨記載されているわけではない(ただし、太陽光発電にかかるコストは料金内訳に「太陽光促進付加金」と明記され、太陽光発電はコストがかかる、というイメージを植え付けようとしている)。もっとも、放射性廃棄物についてはコストがいくらかかるかと言うことよりも、「処理することができるのか」と言うことが問題である。考えてみればあり得ないことだが、廃棄物の処理方法が確立しないまま、原発を稼働させているわけだ。

前回の「核燃料サイクル」にかかわる、青森県六ケ所村の核燃料サイクル基地の例でみると、核燃料の再処理の過程で発生する高レベル放射性廃液を処理するために、廃液をガラスと混ぜて固化させ、ステンレスの容器に入れて「数万年」保管する(?数万年どうやって保管するのか)。経産省のホームページには「この放射能量の多くは半減期の比較的短い核種(セシウム-137,ストロンチウム-90,プロメチウム-147,セシウム-134等)が占めているため、比較的早く放射能が減衰し、千年後には製造直後の放射能量の約三千分の一になります。」とある。経産省の官僚の発想は「千年は短い」らしい・・・。また、その安全性については「ガラス固化体のそばにいると20秒で100%の人が死亡する」とも述べている。コンクリートで遮へいすればよいということだが、コンクリートの寿命が100年としても千年の間に10回もコンクリートを打ちなおすことになる、それを誰が責任もって管理するのか、そのコストはどの位かかるのか。失敗ばかり繰り返していまだに再処理を出来ずにいる再処理工場に、すでに2兆2000億円が投じられているという。放射性廃棄物を処理できないということだけからみても、原発を擁護することは倫理的に見ても許されることではないのでは。

経済産業省 放射性廃棄物のホームページhttp://www.enecho.meti.go.jp/rw/hlw/qa/syo/syo03.htmlより

Q. ガラス固化体の放射能はどれくらいあるのでしょうか

A. 製造直後のガラス個化体の放射能は、その元となった燃料の製造に必要なウラン鉱石全量の持つ放射能の約2~3万倍です。その後、徐々に減衰し、数万年後には元になった燃料の製造に必要なウラン鉱石並の放射能になります。

 製造直後のガラス固化体1本(日本原燃(株)仕様、約500kg)あたりの放射能量は、その元となった燃料の製造に必要なウラン鉱石(1%の品位で約600t)の放射能量と比較して約2万倍(2×10の16乗Bq(ベクレル))になっています。しかし、この放射能量の多くは半減期の比較的短い核種(セシウム-137,ストロンチウム-90,プロメチウム-147,セシウム-134等)が占めているため、比較的早く放射能が減衰し、千年後には製造直後の放射能量の約三千分の一になります。また、数万年後にはその元となった燃料の製造に必要なウラン鉱石と同程度の放射能量にまで減衰します。
なお、それ以降の放射能量は半減期の長い核種(テクネチウム-99,ジルコニウム-93,ネプツニウム-237等)が支配的となり、ゆっくりと減衰していくことになります。

Q. ガラス固化体は近づいても大丈夫なのでしょうか

A. 製造直後のガラス個化体は放射線量が高く人が近づくことはできません。しかし、放射線量は放射能量と同様に時間の経過に従って減衰しますし、適切な遮へい等により影響は十分低減できます。

 製造直後のガラス固化体(日本原燃(株)仕様)の放射線量は、その表面の位置に人間がいた場合、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告の中で100%の人が死亡するとされている放射線量(約7Sv(シーベルト))をわずか20秒弱で浴びてしまうレベル(約1,500Sv/h)です。
しかし、放射線量は対象物から距離をとることや、遮蔽を施すことによっても、その影響を低減することができます。例えば、製造直後のガラス固化体でも、1m離れた位置に厚さ約1.5mのコンクリートの遮へいをほどこすことにより、法令上の管理区域(この区域に立ち入る人は浴びた放射線量の管理をする必要があります)を設定しなくてもよいレベルになります。
ガラス固化体は、処分するまで30年から50年の間貯蔵され、さらに、処分を行う段階においてはオーバーパックという厚い金属製の容器に封入されるので、その表面における放射線量はずっと減少します。
例えば、50年後には放射能が約1/5になり、表面の放射線量は約1/9になります(表面で約160Sv/h、表面から1m離れた位置で11Sv/h)。さらに、オーバーパック(厚さ19cm)に封入することにより、オーバーパック表面の放射線量はずっと小さくなり、表面で約0.0027Sv/h、表面から1m離れた位置で約0.00037Sv/hとなり、1m離れた位置に約0.8mのコンクリートの遮へいをほどこすことにより、法令上の管理区域を設定しなくてもよいレベルになります。

*[days] 世田谷233

  

■先日、豪徳寺近辺に用があり三茶から自転車で出かけた。距離的には片道約3.5km、往復約7kmの行程と言うことになる。往きは目的があるので、まっしぐらに目的地に、と言っても若干道に迷ったが、何とか到着。帰りは特に時間があるわけでもなかったので、街並みや建物を見ながらのんびりと。途中、世田谷線の若林と西太子堂の間にある「世田谷233」http://233.jp/index.htmlと言うギャラリーとショップ(棚一区画単位)が一体になった面白い店舗を見学した。しばらく前の「地井散歩」に出てきたので、チョット興味を持っていた。ギャラリーとしては3畳程度のものだが、ショップはそれなりの広さをもっていて、棚は空きがない状態だった。ショップの壁の一部も「ギャラリー」として貸し出している。床と天井以外はすべて「貸出中」と言う感じだった。その中で面白そうなストラップのようなものをいくつかお土産に購入。

*[days] さようなら原発1000万人アクション2/11

■今日は、大江健三郎氏等が呼びかけ人となっている「さようなら原発1000万人アクション」の集会とデモが代々木公園で開催された(デモは2コース)。余り体調は良くなかったが何とか参加して、デモも明治公園までたどりついた。代々木公園でばったり大学時代の知人に会った。明治公園までのコースは今まで参加したことがないので、今までとは違った建築が紹介できると思う。今回の集会とデモには、アルジャジーラやロイター通信の外国メディアも取材に来ていた。明治公園コースのデモ隊の取材をしていたロイターのカメラマンはデモを「縦割り」にするようなアングルで撮影していたのが印象的。集会とデモの様子は後日写真で紹介したい。


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