原発と建築家

原発について建築家が書いた本は、不勉強のせいもあるのだろうがほとんど見たことが無い。先月、乃木坂のB00kshopTOTO http://www.toto.co.jp/publishing/bookshop.html に寄った時に偶然見つけて購入した。著者は「みかんぐみ」 http://mikan.co.jp/竹内昌義氏。本の構成はインタビューと若干のエッセイと言った感じで、建築家がそれぞれの専門家に、原発、環境、エネルギーなどについて、「建築家」という立場から「聞いてみたいこと」を率直に聞いてみる、と言う本で、何となく自分の代わりに聞いてもらっているような、そんな感じの本でとても読みやすい(個人的な感想、言うまでもなく・・・)。

原発論と言うよりは、エネルギー・環境論に重点を置いた印象が強い。「原発に関しての発言はイデオロギーの問題ではない。安全の問題、特に技術の問題と理解したほうが良さそうだ。イデオロギーだと考えてしまい、その問題の本質を議論することから遠ざかると、そこで利する誰かがいるように思える。」と言う著者の言葉がすべてを語っているように思える。知れば知るほど、原発は余りに未完成の技術で、建築に使うエネルギー源を再生可能エネルギーにシフトし、省エネ技術を生かすことが必要だと、あらためて考えさせられる一冊。

■担当編集者より■

事故以来、原発について建築家の発言を聞きたいと思っていたので、竹内さんが本の企画を引き受けてくださった時は「ようやく!」と喜んだ(でも企画するまで事故から半年もたってしまったことは反省)。
原発については、思ったり考えたりするだけでなく、発言することが大事だなと、再び動こうとしている原発と、なかなか変わらない状況を見ていて改めて思う。
建築は社会とも政治ともつながっているのだから、そして建築家の構想力はもっと多くの場面で発揮されて欲しいと思うから、引き続き発言の場を見つけたりつくったり、していこうと思う。

 「僕たちは何を設計できるのか。再生可能エネルギーの未来、新しい時代の建築を考えた。」 

竹内昌義 編著 @tkchmsysh(←竹内さんのツイート)

インタビュー:松隈洋・後藤政志・佐藤栄佐久・池田一昭・清水精太・林昌宏・三浦秀一・飯田哲也

四六判・240頁・定価2100円(本体2000円) http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/book/ISBN978-4-7615-2529-3.htm

■■内容紹介■■

3.11以降、ストレートな物言いでツイッター上の注目を集めてきた著者が、「建築家としてどう関われるか」を問いながら専門家を訪ねたインタビュー集。原子力発電をめぐる建築の歴史、安全の概念、都市と地方の関係を見直し、再生可能エネルギーの技術や制度の可能性を探りながら、関わり、発言することの大切さを確認する。

目次

インタビュー1 松隈 洋  建築家として何を話せるのだろう(建築史家)

インタビュー2 後藤 政志 安全を設計するのは誰なのか(元原子炉設計技術者)

インタビュー3 佐藤 栄佐久 発電所を受け入れた町になにが起こるのか(元福島県知事・原発に疑義を唱え失脚)

エッセイ──なぜ、環境的な建築の必要性を感じたのか 竹内昌義

インタビュー4 池田 一昭 「スマートな都市」をイメージしてみる(日本IBM・スマーターシティ事業)

インタビュー5 清水 精太 エネルギーのベストミックスは何か(東京ガス・エネルギー/環境)

インタビュー6 林 昌宏 再生可能エネルギーは不安定なのか(ミツウロコグリーンエネルギー・風力発電)

インタビュー7 三浦 秀一 地方でこそ再生可能エネルギーを活かせないか(東北芸術工科大学准教授・環境エネルギー計画)

インタビュー8 飯田 哲也 建築家として、何から始められるだろう(2011.12.10)

blog 注)引用の内容は適宜編集してあるので、上記web参照のこと

 

自民党政権になり、着実に原発推進へと舵が切られているように思えるが、福島第一の原発事故から、原発を巡る危険性は何一つ変わっていない、にもかかわらず原子力規制委員会の更田(ふけた)氏 http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/fuketa.pdf は、原発安全設備に関する新たな基準について、長く止めていた原発を動かすのはかなりリスクが有るので、とりあえず出来そうなものだけやって、早く再稼働した方が良い、と言った趣旨の発言をしている。それにしても規制委員会の委員とは何ともいい加減な人たちなのだろう!

 原子力災害対策指針(改定原案) パブリックコメント http://www.nsr.go.jp/public_comment/bosyu130130.html

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東京新聞 2013.02.07 朝刊9面 『原発 机上の「安全」ー規制委が新基準」より

今回の基準では、原子炉本体についての言及はないようだ、また、最近のニュースで、1号機原子炉建屋4階の非常用復水器(IC)の現地調査を要請した国会事故調に対し、東電が虚偽の説明で拒否したと言う。3.11で福島の原発に何が起きたのか、何も分かっていない、そんな状況のもとでの原発再稼働はあり得ない、と思うのだが・・・。それに使用済核燃料の処理についても何も方向性が出ていない。驚いたことに、今後のエネルギー政策に大きな影響を持つ「経済財政諮問会議」の民間メンバー http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/about/member.pdf には二人も原発メーカー関係者が入っている。

 


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