環境省は再生可能エネルギーがお嫌い

北海道幌延オトンルイ風力発電所(写真:ウィキペディア)

環境省が風力発電の騒音規制強化案を提示したが、余りに露骨に風力発電をつぶそうと言う姿勢に、この国の将来を憂えざるを得ない。以下2013年7月11日付ケンプラッツ(日経)の記事 http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20130708/623109/を参考に。

「風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会」(座長:町田信夫・日本大学理工学部教授)が出した意見書によると、「騒音レベル(A特性音圧レベル)の目標値を35dB以下とする。時間帯は終日」と言うもの。

日本建築学会によれば「静かな事務所・50デシベル・日常生活で望ましい範囲」となっている。

当事者である環境省の定める「騒音に係る環境基準について」http://www.env.go.jp/kijun/oto1-1.htmlでは、「療養施設、社会福祉施設等が集合して設置される地域など特に静穏を要する地域」としてAA地域を定めているが、その値ですら「昼間50デシベル以下、夜間40デシベル以下」、「専ら住居の用に供される地域」では昼間55デシベル以下、夜間45デシベル以下である。

この提案は、環境省が「中電技術コンサルタント」に依頼してまとめた報告書を元に行われているが、「中電技術コンサルタント」なるものは、名前のとおり中国電力の影響力の中にあるコンサルタントのようで、ホームページを見るとhttp://www.cecnet.co.jp/company/outline.html「株主」と言う欄には「中国電力ほか」とあるだけで、どう見ても中国電力の子会社的なものであることは疑う余地が無い。

日本の役人は何でこう言うことを平気で行うのだろう。どう見ても環境省は再生可能エネルギーを排除しようとしているとしか思えない。もちろん、今の環境大臣は自民党の石原伸晃氏であるので、環境省全体が再生可能エネルギー排除の姿勢であっても不思議ではないが。

このような非常識な規制がまかり通れば、新設の風力発電ばかりでなく、既存の風力発電も更新できず、いずれ日本から風力発電は消えていくことになる。

「2011年時点でスペインは中国、米国、ドイツに次いで世界第4位(*1)の風力発電導入国であり、発電量に占める風力発電の割合は約2割と非常に高い。2011年3月には、風力発電の電力供給に占める割合が21%となり、月別で最大の供給源になった(*2)。」(みずほ情報総研 http://www.mizuho-ir.co.jp/publication/column/2012/0410.html

世界は再生可能エネルギーの技術を着々と積み重ねている、そのような中、日本はと言えば、当面の原発利権維持のため、国(官僚:天下り先確保のため、マスコミ:広告宣伝料をもらうため、大企業:何でも高く買ってくれる電力会社のため、金融機関:余りに突っ込みすぎた電力会社への債権が吹っ飛ばないようにするために)を挙げて、再生可能エネルギーを叩き潰そうとしている。でもその先にあるものはいったいなんだろう?

官僚諸君、君達にも子供や孫を持つものは多いだろうに、子供達の未来をどうしようと言うのか・・・


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