「または」と「かつ」

建築基準法の授業で最初に説明するのは、法律用語、これが理解できないと建築関連法規を、正しく設計などに反映することができない。建築の場合やはり数値が大きな意味を持つので、まずは「以上」・「以下」、「こえる」・「未満」の違いの説明から入る。「以上」・「以下」はその数値を含む、例えば「10m以下」と言えば「10m」を含むことになるので、たかさ10mで設計しても一応適法と言うことになる(実際には施工誤差などを勘案して50mm程度の低減を求められるが)。「こえる」・「未満」はその数値を含まない、例えば「10平米未満」の場合、「10平米」になってはいけない、と言うことになる。高さの制限や、面積の制限の場合非常に重要な概念となる。

次に説明するのが、「または」と「かつ」の違い。例えば、法第二十一条、(大規模の建築物の主要構造部)の条文では「高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超える建築物」と言う記述があるが、この場合、「高さが十三メートル」をこえるか「軒の高さが九メートル」をこえるか、どちらか一つでも該当すればこの条文の規制の対象となる

また、「かつ」について言えば、法第二十四条(木造建築物等である特殊建築物の外壁等)の条文では、「三  百貨店、共同住宅、寄宿舎、病院又は倉庫の用途に供するもので、階数が二であり、かつ、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの」とあるが、この場合、共同住宅だけでは規制の有無が確定せず、200平方メートルを超えて初めてこの条文の規制を受けることになる。

要するに、「A又はB又はC」の場合、A、B、Cどれか一つでも該当すれば規制にかかることになる。

「AかつBかつC」の場合、A、B、C全部に該当しなければ規制にかからないことになる。

今日テレビ(テレ朝のモーニングバード・玉ペディア)を見ていたら、「みんなの党」の国対委員長はこのことを全く理解していなかった、多くの国会議員がその程度なのではないだろうか、心が寒くなる状況だ。

今問題になっている「特定秘密保護法」の「テロの定義」についてみてみよう。「又は」の問題と言うことになる。条文は「政治上その他の主義主張に基づき、国家若(も)しくは他人にこれを強要し、又(また)は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう」そうだが、多くの人は、施設を壊したり、人を殺傷しなければテロではないと思うだろう、それが常識と言うものだと思うが、法文によるとそうではない。

この法律が成立すると、すべては法律の条文どおりに適用される、警察も検察も裁判所も該当する法律に従って行動する。と言うことは「政治上その他の主義主張に基づき、国家若(も)しくは他人にこれを強要し」ただけでテロ行為とみなされる。「強要」と言う定義もはっきりしない、その定義も法律には無いと思う。しかし、自民党の石破幹事長によると、住民に恐怖を与えるような大きな声はテロと本質的に同じと言うことなので、とにかく大きな声で、「例えば原子力発電所は危険だし、廃棄物も処理できないから反対!」と叫ぶと、「国家もしくは他人(他人ってなに?)」に、「政治上その他」の主義主張を「強要」したのでテロ行為になり逮捕される可能性がある、逮捕するかどうかは公的権力のその時の状況で決まる・・・、なんだか恐ろしい世の中になりそうだ

追記:今夜の報道ステーションを見ていたら、森まさこ特命大臣を議会で補佐していたのは警察官僚とのこと。特定秘密保護法は防衛・外務の秘密事項を保護するためと言われているが、実際のターゲットは、広く国民全体を監視するためのもののようだ。確かに防衛・外務については現在の法律で十分機能は果たしているようだ、そのことは米国の元安全保障会議の高官も言明している。ますます、今後の日本が心配になってくる。新国立競技場の計画も、詳細はテロ防止上対策上秘密である、ってなことにならなければ良いが。

 国立市議がこんなツイット書いてました!なんだか心配になります。

歴史は必ず繰り返す。

1923年 関東大震災

1925年 治安維持法

1940年 東京オリンピック

1941年 太平洋戦争

2011年 東日本大震災

2013年 秘密保護法

2020年 東京オリンピック

 Kai-Wai 散策  より

ジョー・オダネル氏の証言と遺言

http://kai-wai.jp/2013/08/post-2085.html

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背負った弟の焼く順番を待つ「火葬場に立つ少年」の写真(オダネル氏撮影・ナガサキ)

世界中のどこであろうと、こんなこと二度とおきてはならないはずなのに・・・

http://blog.goo.ne.jp/taku6100/e/ad1852a88b2bf542c9a7f90e9be57c52


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