インテリアの散歩道

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稲田愿氏の著作が出版された。題名は「インテリアの散歩道」と言うことで、デザイン書であると同時に文化史的な視点も含まれた、重層的な著作、と言うととても難しそうなイメージだが、内容は稲田氏のイラストなど図版をふんだんに用いて、初めてインテリアを学ぶもの、あるいは「趣味」でインテリアに興味を持っているような人にも、十分わかりやすいのではないかと思う。一方で、50年にわたる豊富な経験と、常に学び続けると言う姿勢が醸し出す内容は、経験40年の建築設計者にも十分に魅力のある本となっている。

稲田氏は私達有志でつくるグループ「NOVA DESIGN HOUSE」の一員でもある。

著者「あとがき」より抜粋

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単純に年月を積ねれば、デザインが上手になるという訳ではないが、十年目の人と、五十年の経験の人では、必ず最終的に表現される作品の内容を比べて見ると、その作品の中に表れてくる内容には、それなりの人生観とか、対社会的な意味などに於て、持ち味が異なってくる。若い人も老練の人も、いつでも初心にもどって、デザインの奥義を深めてゆく努力をおこたらないよう心がけてゆく必要がある。たまには、自分の範囲からはずれるような周辺分野などにも、学習の範囲を広げてゆくことも重要である。

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このことは、デザインの世界に限ったことではないと言うことは自明であろう、一つの世界に閉じこもらないこと、より多くのことを知り、自らの判断の参考にしなければならないことは、ウィトルウィウスhttp://1000ya.isis.ne.jp/0778.htmlの時代から変わることは無い、そしてこれからも変わらないことだろう。

目次 : 家具レイアウト異文化比較/ 木についてのお話/ 窓についてのお話/ 「塗師」が「ペンキ屋」に、「経師」が「クロス屋」になった話/ 渡りが六分に景気を四分―機能優先か見た目重視か/ 「安楽(コンフォート)」について考える/ はきものをぬぐ文化―日本固有の習慣/ ベッドについてのお話/ 「装飾」とは何か、を考えよう/ 人を包み込む布―カーテンについて〔ほか〕
【著者紹介】
稲田愿 : 1940年茨城県日立市に生まれる。1963年千葉大学工業短期大学部木材工芸科卒業。1963~66年東京都立大学工学部建築工学科、同社会学部都市社会学講座などで学ぶ。1963年Qデザイナーズ入社。以後30年間、デザイン事務所のスタッフとして活動。1995年「IN・SCAPE」設立。歴史的建造物などの家具復元設計などに携わる。その間、日本デザイン学会、建築史学会などに属し研究に従事。1996年から、法政大学工学部およびデザイン工学部、建築学科の講師を15年勤める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)   (「BOOK」データベースより)

【技報堂】のサイトより http://gihodobooks.jp/book/2568-8.html 

発行所:技報堂出版株式会社  A5・260頁 / 2625円  発行年月日 : 2013年11月 ISBN : 978-4-7655-2568-8

室内インテリアや家具がどのような始まりで、どのような変化・進展をくり返して現代に至っているのかを、豊富な図版を用いながら、文化史的な視点に立ってまとめ、解説した書。過去から現代に至るまでの、私達の生活の器でもある建築から室内(インテリア)までと、その中に入っている家具・什器などを一話完結形式で全41テーマあつかっている。


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