明治神宮外苑周辺の規制緩和に反対する(再掲・加筆)

2月4日付東京新聞の「山手面」に、「国立競技場建て替え機に、神宮外苑地区 高さ制限75メートルに緩和」と言う記事が大きく載っていた。「緑の多い風致地区のため、現在の高さ制限は15メートル」、地区計画を見ると国立競技場と関係のない部分が広く含まれていて、絵画館前の銀杏並木の景観は風前のともしびと言う感じになっている。誰のための緩和か、有楽町から大手町にいたる開発がほぼ一段落した今、緑豊かな都心の貴重な地区が狙われたと言うことだろうが、ディベロッパーにしても建設業界にしても、もっと他に生きる道を探るべきではないだろうか。このままではこの業界は、とうてい市民からリスペクトされることはないのではないだろうか。

2013.02.04  神宮外苑地区 高さ緩和-800東京新聞

※※※ 現地を知っていればすぐ分かることだが、南にある大きな広場は明らかに計画ミスではないだろうか。メインのアプローチはJRと都営地下鉄の駅のある千駄ヶ谷(敷地の北側)方面と考えるのが普通ではないか。そちらに大きな広場が無ければ、8万人の観客はさばけない。原発に反対する大規模集会(6万人規模)が明治公園で行われた時、すでに千駄ヶ谷駅はホームに人があふれ、次の信濃町駅まで行き、そこから多くの参加者がアプローチしている。南側は地下鉄銀座線の外苑前駅からのアプローチになるが、半蔵門線では外苑前駅は造られず、表参道駅の次は青山一丁目駅である。つまり南側からのアプローチとなる外苑前駅は大人数の利用は考えられていないわけで、ホームも極めて狭い、そのように条件の悪い南側に大規模な広場を配置するということは、敷地の条件など全く眼中にない、ただ目立つだけのために造った絵空事、と言うことではないだろうか。もしかすると敷地を見ていないか、交通条件等を熟知していないのではないかと思わざるを得ない。

2013.03.01 追記

明治神宮外苑周辺の規制緩和に反対する。都民に残された数少ない都心の緑を、一部の利権をむさぼる者のために失ってはならない。神宮外苑が整備された当時の状況を取材した東京新聞(2013.02.27付)の記事を転載する。

2013.03.01 神宮外苑 東京新聞

2013.03.01 神宮外苑平面図 1926

2014.11.02  外苑周辺航空写真

2014.11.02追記

上の航空写真は最近のgooglemapから、銀杏並木の東側、旧陸軍大学の跡地に建つ建物群は都営アパートのようだが、このような場所に都営住宅が必要なのか?銀杏並木の西側にはテニスコートが並んでいる、これも必要なのか?少なくともこのテニスコートは緑地公園として整備すべきだろう。都市計画変更になったので、当然のごとくディベロッパーが高層建築を建てて、私腹を肥やし、公務員などの天下り先が確保され、都民の憩いの場所は空も十分見ることが出来なくなるということになる。そのような開発は近くの東京ミッドタウンでもう十分だろう。東京ミッドタウンも防衛庁の跡地を三井不動産が手に入れて開発したものだ。神宮第二球場も緑地にして、ラグビーワールドカップは秩父宮ラグビー場を拡張する程度で開催すればよい。大体、ラグビーは昔ほどの人気は日本では期待できない。北側のテニスコートを含めて拡張する程度で出来ないワールドカップなら辞退すべきだろう。高校時代ラグビー(ウイング)をしていた身としても、市民に歓迎されないイベントには反対せざるを得ない。

明治神宮外苑競技場絵葉書

現在の国立霞ヶ丘競技場は、元明治神宮外苑競技場の跡地にある。明治神宮外苑競技場は、昭和18年の学徒出陣壮行会が実施された場所で、もう少しその場所にふさわしい競技場を造るべき。イベントのための可動屋根を持った、商業主義的施設は臨海地区にでも作るべきではないだろうか。建築エコノミスト森山高至氏のblogによると、明治神宮外苑競技場は「競技トラックは掘り下げて設けてあり、その掘り下げ傾斜面を芝生にして観客席としてあるのです。絵画館側には構造物を建設しなかったからなのです。上の絵葉書のように、むしろ競技場から観客席越しに絵画館が見えていますよね。」と言うことで、景観に対し本当に丁寧に対応していたことが分かる。http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-11798436816.html

2014.11.02 学徒出陣壮行会


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