新国立競技場をめぐる地区計画
新国立競技場の建設をめぐって、またおかしなことが明らかになっている。JSC(日本スポーツ振興センター)が移転する建物が高さ80メートルになると言う。場所は国学院高校に接し、母校都立青山高校の北側、道路を挟んで向かいに神宮球場がある敷地。本来であれば、原則的に高さ15メートルまでの建物しか建たない地域である。この部分が国立競技場建て替えのためという事で、地区計画で大幅に緩和されている。
都市計画法 第十二条の五 で地区計画は次のように定められている、「建築物の建築形態、公共施設その他の施設の配置等からみて、一体としてそれぞれの区域の特性にふさわしい態様を備えた良好な環境の各街区を整備し、開発し、及び保全するための計画とし・・・」、すなわち、周りの学校やラグビー場などと高さやボリュームを合わせた「TEPIA」(槇文彦氏設計) http://www.tepia.jp/access/のような計画が想定された地域に、突如80メートルの高さを持った建物を造ろうとい発想自体が理解できない。地区計画に言う「それぞれの区域の特性にふさわしい態様を備えた良好な環境の各街区を整備し、開発し、及び保全する」精神とは全く相容れない発想でしかない。
JSCの運営調整課長は「競技場近くで事務所機能を持つ必要がある」と言う説明をしているようだが、それであれば最小限の人員を競技場内の事務所に置き、本部機能は都内の賃料の安いオフィスを借りれば済む話ではないか。とにかく新国立競技場の建設を口実にやりたい放題のJSCと、それをサポートする文科省、国交省、東京都などの官僚機構のやり方は如何なものか、勿論その後ろには開発により利益を得ようとするディベロッパー、ゼネコンなどが控えているのは言うまでも無いだろうが。
仕事で地区計画に何度か係わったこともあるが、これほど暴力的な地区計画は見た事がない。いずれにせよ、この地区計画は白紙に戻すべきだと思う。そんなことをしたら2020年の五輪開催に間に合わないと言う人がたくさんいると思うが、現在の競技場を改修するか、臨海地区の空き地にザハ氏の計画をそのまま造れば、工程的には問題無いのではないだろうか、少なくとも高齢化した東京を考えれば将来に禍根を残すことは避けるべきだろう。
↑ TEPIA(右:秩父宮ラグビー場、左:神宮球場) 元東京ボーリングセンター(高校時代は早朝ボーリングの後、向かいの校門を駆け抜ける)
左写真・青山通り方面から:左のネットが都立青山高校の校庭でその先がJSC建設予定地、突き当りが日本青年館、右がTEPIA 右写真:青年館前あたりから:左が神宮球場、右のトラックの横あたりがJSC建設予定地
ここに高さ80メートルの建物は無いと思う、「それぞれの区域の特性にふさわしい態様を備えた良好な環境」とは相容れない。
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- Published:
- 1.6.14 / 6pm
- Category:
- 社会
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