迷走「新国立」の行方(日経アーキテクチュア)

2014.07.08 日経アーキ 表紙-600

何故、コンペ案と基本設計のパースの角度が違うものが使われるのか?

2014.07.08 日経アーキ 大規模改修案-600 2014.07.08 日経アーキ コンペ全作品-1-600 2014.07.08 日経アーキ コンペ全作品-2-600

全応募作品はJSCのサイトから閲覧可能 http://www.jpnsport.go.jp/newstadium/home//tabid/430/Default.aspx

今日、日経アーキテクチャーが届いた、創刊準備号から購読しているが、読んだり読まなかったり、まあ適当に積んであると言う感じだが、今回は特集部分は全部読むことになった。槇文彦さんのインタビュー記事が4頁もあり、見ごたえがある。外苑の歴史や景観と言った視点はないが、建築からのアプローチとしては、久米設計の「国立霞ヶ丘陸上競技場耐震改修基本計画」(現在の競技場を耐震補強して使うと言うもの)も4頁使って取り上げている。それによると耐震補強のみで使う場合は128億円、収容人員を6万人にしてスタンド上部の屋根などを加えた中規模改修でも193億円、7万人規模にして、地下にサブトラックや駐車場を作っても777億円(いずれも2011年当時の単価で、税別)。現在の新築計画とは、工事費の桁が違う、確かにこれではゼネコンに天下りを受け入れさせるには、金額が小さすぎるのは理解できる。安藤忠雄審査委員長は、日本の技術の見せ所などと言っているようだが、構造設計自体すでにアラップ社に出してしまって、日本の技術ではなくなっているのではないだろうか。施工も半端なことでは成立しそうにないことは、川口衞氏(http://www.kawa-struc.com/)や、槇文彦氏の話から推測することが出来る。

同社は、構造設計技術者のオヴ・アラップ(オーヴ・アラップ, Ove N. Arup)が1946年に専門的なコンサルティング・エンジニアリンク業務を行う目的で設立。ロンドンに本社を置き、アメリカ、オーストラリア、中東、アジア、ヨーロッパ、中東、アフリカなど160ヶ国以上でプロジェクトを実施した経験を持つ。現在、エンジニア、プロジェクトマネージャーら10,000名以上のスタッフを抱え、90以上のオフィスを37カ国に置く。(ウィキペディアから抜粋)

今回始めて目にしたが、応募作がすべて小さな写真入で紹介されているが、そこに「Herzog & de Meuron」や「COOP HIMMELBLAU」の作品があるのにびっくり、坂茂氏の作品も魅力的だ。なぜ2次審査に残らなかったのか、理由が知りたい。これだけ魅力的な応募作があったのなら、堂々と公開して広く一般市民からも当然意見を聴くべきだったのではないか。そして候補地が以前のようにお台場地区であれば、もっと自由にいろいろなことが出来たのではないだろうか。

何故、神宮だったのか?これはもちろん推測だが、ディベロッパーの働きが大きかったのではないだろうか、神宮周辺の再開発で金儲けをする、それに、文科省や東京都、あるいはスポーツ関係者の天下りシステムを利用した、と見れないこともない、もちろん森元首相などの政治家も蠢いているわけだが。ゼネコンや大手設計事務所は、別に場所はどこでも稼げるわけで、国立競技場の場所にこだわる必然性はないように思える。

建築家協会(JIA)の動きも気になるところだ、昨日の非公開(秘密)の説明会に何故参加したのか?その後のテレビインタビューに答える芦原会長の軽さ加減も気になる。槇さんなどが出席を辞退する中、建築家協会は参加したが、東京新聞のインタビューに、JIAは「話し合いを始めなければ何も変わらない」と言う、ではなぜ非公開なのか?JIAにとって、市民と共に歩むのか、金儲けのためには何でもする輩に組するのか、建築家協会の賢明な判断を願っている、が・・・。

槇文彦さんの以下の言葉は肝に銘ずべき⇒「もちろん保存改修案には不賛成ではないが、現国立競技場が解体されたら、これまでの真剣な議論が水の泡になってしまう。つまり、「もう何もない。いまさら何を言うのか」と、事業者側は言うに違いないからだ。私は更地になってからでも、いろいろな考え方があるのではないかということを強調したい。

2014.07.05 国立青風船  2014.07.05 国立赤風船


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