日本住宅公団 晴海高層アパート
構造は当時「横山構造事務所」にいた木村俊彦氏が担当していたようだ。巨大な拡底杭が印象的。郵政省では監督員(郵政技官)が拡底杭の杭底を目視で確認するため、杭の底まで下りて検査をしていた。一度クレーンに吊り下げられて杭底まで下りたことがあるが、かなり綺麗に掘れるというか、最終的には手掘りだったのではないかと思う。
[建築]日本住宅公団 晴海高層アパート
もう壊されてしまった建物についていまさらと言ったこともあると思うが、敬愛すべき建築家(たぶん唯一の)「前川國男」の作品でもあるし、高層住宅の画期的な試みでもあるので。
夕方打ち合わせが終わったあと、半地下のスタジオで古い「新建築」を眺めていたら、「晴海高層アパート計画案」の記事が目に止まった。この建築については解体時にいろいろ紹介されているので、ここでは「前川國男」のコラム的な部分と構造図の一部を載せておく(「新建築」の著作権との関係良くわからないが、これによって「新建築社」の利益を損なうことは無いものと・・・)。
「前川國男」の文章は画像では読めないと思うので以下に引用しておく。
蓄積
「ベニヤ」というのは「合板」のことであると思い込んでいた建築家がいた。いうまでもなく「ベニヤ」というのは「合板」をつくる素材である「単板」を意味するのであって、「合板」という意味の英語は「プライウッド」である。「ベニヤ」という字はいつの間にか「プライウッド」の日本名となってしまったものらしい。
私たちの周囲は、考えてみるとこうした誤解にみちている。その上、こうした誤解の上に立った議論がはなはだしく空転してお互いのエネルギーを浪費している。反訳(ママ)文化のもつ宿命のひとつであろう。
しかし皮肉な考え方をすれば、こうした誤解にもとづく議論の空転が逆に貧しきを分かつ九千万の人間の生活手段に役立っているのかもしれない。
ずいぶんとシンドイ話である。
われわれの近代建築がその完成度を一歩一歩高めてゆくことによってはじめて民衆の信頼と愛情とを深めて行くのに相違ないのであるけれど、そのために必要な持続される労苦、倦むことのない蓄積がこうした「シンドイ」風土の裡にどうしたら育つのであろうかと、私たちはいつも考えさせられている。
さすがにイームズ・ブームで「プライウッド」という言葉はかなり一般化したが、確かにしばらく前まではよく「ベニヤ板」と言う言葉を耳にした、もちろんそれは「合板」それもなぜか「ラワン合板」を意味していることが多かった。
「民衆の信頼と愛情とを深めて行く」ことの難しさは今も昔も変わらない。まして、「構造偽装」などというまったく予想だにしなかったような事件がおきてしまっては、今まで多くの建築家が努力してわずかながらでも築き上げてきた、「信頼も愛情も」どこかに吹き飛んでしまった。
[Days]打ち合わせ
■午前中はkawasaki-housingの図面調整、午後からまた資料探し。夕方からプランの打ち合わせをして、来週資料を取りまとめることにした。
■午後、以前のsd-projectのクライアントから電話。すでにハウスメーカーで実施設計に入っているが、法規制など調査内容がおかしいということで、来週区役所に同行することになった。
■夜は[PTT-B]のスタンドフレーム作成のための作図。
■またまた「古畑任三郎」を見る。今日が一番面白かったような気がするが・・・。
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- Published:
- 1.5.06 / 11pm
- Category:
- 建築
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