秋岡芳夫展
*[design]秋岡芳夫展
秋岡芳夫氏は工業デザイナーという印象を持っていたが、チラシを読むとデザイナーとしての活動の他にいろいろな仕事をしている。現在でもグラフィックデザイナーなどが、プロデューサーとして活動する人はたくさんいると思うが、童画を書いたり木工を職業としているというデザイナーは、ほとんど聞いたことがない。そんな、多岐にわたる活動を一望できるというのが、今回の展覧会ということのようである。
目黒美術館は時々建築やデザインに関する極めて興味ある展覧会を企画することがある。今までも、村野藤吾展(これは千代田生命本社を目黒区が区役所として購入したこともあるのだろうが)、チャールズイームズ展、上野伊三郎+リチ コレクション展 http://udf-tokyo.com/weblog/?p=616等等。しかし残念なことに(目黒美術館の話の時はついこのことになってしまうが)この建物は良くない。何が良くないかというと、「芸術」を鑑賞するという雰囲気が全く無い、空間に魅力がないというべきだろうか、世田谷美術館のような内外の空間をつなぐような工夫も見られない。もっともこれは目黒区美術館に限ったことではない、以前練馬区美術館に行ったときも同じような印象を持ったが、練馬区美術館はもっと「ヒドイ」。どのように設計者を決めているのか、区民はどのように感じているのか・・・?まあ、世田谷区の施設にしてもやはり同じような疑問を持つことが度々あるので、目黒区や練馬区の問題ということではなく、日本の建築というものに対する「文化」ということかもしれない。
秋岡芳夫氏の展覧会の話が、建築の話にそれてしまったが、秋岡芳夫氏についてはチョット思い出がある。現在の三軒茶屋の自宅を立てる前に、候補地として玉川に近い瀬田(昔の玉電の瀬田停留所近く)の土地があったが、そこに大きな欅の木があり、家を建てるためにはどうしてもそれを伐採しなければならなかった。その時、木工家としての秋岡氏の名前を思い出し(思い出したのは身近にいた人だったかもしれないが、20年以上前のことなので記憶が薄れている)、欅の伐採とその利用についてを秋岡芳夫氏にお願いした。その後、その欅の株というか根の部分を木工品として使用したという話を耳にした(当時の朝日新聞のコラムに載ったとのことだが当時の切り抜きが見つからない)。とにかく高木を伐採する場合、クレーンなどの重機が必要となるので、結構大変な作業になる。そんな訳で、秋岡芳夫氏については木工家としての印象も強い。全体としてどんな仕事をしていたのか、時間を見つけて目黒美術館まで足を運んでみたい。
■会場:目黒区美術館 http://mmat.jp/
■会期: 2011 年10月29 日(土)-2011年12月25 日(日)
■時間: 10:00~18:00 休館:月曜日
■入場料:一般900円、学生(大学・高校・65歳以上)700円
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*[TPP]食の安全
このblogでは基本的に「政治」と「宗教」は扱わないことにしているが、「TPP」の場合あまりに生活と密着しているので、多少取り上げることにしたい。
憲法第25条には以下のように書かれている。
「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」
ここでは国民の権利と国の「義務」が明記されている。国は国民が「健康」な生活を営むことを助けなければならないわけだが、震災復興の作業も進まず、原発の事故の正確な原因も分からず被害の救済も全く進んでいない中で、TPPと言う日本の経済や生活習慣を根底から崩しかねない協定加盟に突き進んでいる。オバマ米大統領や米国経済のために、日本国民を犠牲にすることはなんとも理解できない。
ここでは、日々の生活に直接関わる「食の安全」について、「いつものように」東京新聞(2011.11.18朝刊)の記事を取り上げた。農産物の遺伝子組み換えなどの問題と並んで、米国産牛肉の問題は看過できない。既に、原発事故関係で国産牛肉も様々な問題をはらんでいるが、米国産牛肉についてはBSE(牛海綿状脳症)や成長促進剤(ホルモン)の危険がつきまとうという。農業情報研究所 http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/index.html の北林寿信氏(一人で研究所を維持しているらしい)は、米国の畜産・食肉業界の問題点を述べているが、最後に「米国では乳牛には乳量が増えるように、ホルモンを注入したり濃厚飼料を多量に与えたりする。かつては、BSEの原因とされる安上がりの肉骨粉をたくさん使っていた。乳が出なくなればひき肉にされ、ファストフードのハンバーガーなどになる。これは危ない」と警告している。
その記事の中で、米国産牛肉の輸入規制については、玄葉光一外相が10日の日米外相会談で、日本政府が「月齢20ヵ月以下」の肉に限って認めている輸入を「30ヵ月以下」に緩和する準備に入ったことを伝えたそうだが、そんな話、日本国内では報道されているのか、そのような緩和措置が必要なのか、今のままで何がいけないのか、誰のためにそのような緩和措置をしようというのか??? 何故あえて国民の「健康で文化的な最低限の生活を営む権利」を奪おうとするのか・・・?ウム、ひどすぎ!
TPPの内容にはこのような、日本国民の生活に密着した問題が数多く含まれている、それも、憲法第25条をないがしろにするような内容に満ち溢れているようだ。ある世論調査ではTPP交渉参加に40%以上の国民の賛成があるというが、その世論調査でTPPに関する政府の説明は不足しているという意見が80%あるという。TPPの交渉にあたる政府が、国民に十分な説明を行なっていないというのに、交渉参加に賛成するというのは・・・、ウム、わからない!
*[days] 森美術館・TOTOギャラリー間
画像説明 上段:森美術館は会場内の写真を撮影して良いことになったはずだが、今回は撮影禁止とのことで、同じ階にある展望コーナーから見た東京タワーを。 中段・下段:ギャラリー間の展示、3階の出入口のガラスがプリズムになって、展示作品に虹がかかっていたのが印象的、隣の健康保険ビルが解体されたせいか、西日が強く差し込んでいてそれが模型に差し込む情景がリアルな風景を感じさせていた、多分あまり見ることができない場面だと思う。
■先日森美術館で開催中の「メタボリズム展」http://udf-tokyo.com/weblog/?p=1265を観てきた。かなり大掛かりな展覧会で森美術館の力の入れかたが伝わってくる。内容については想定通り「鳥瞰」的捉え方が全体を通して感じられた。特に映像による丹下健三氏や磯崎新氏の作品は、メガストラクチャニーよる鳥瞰的都市計画そのもの。ただ、その都市計画レベルのものは実現したものが皆無に等しい、大高正人氏による坂出の人工地盤http://www.arch-hiroshima.net/a-map/kagawa/jinkotochi.htmlの計画が唯一それらしいいものかもしれない。ただこれをメタボリズムの実施例にしてよいものかどうかは?それに比べて、小規模の作品には興味を引くものがいくつもあった。代表的なのは菊竹清訓氏のスカイハウスと黒川紀章氏の中銀カプセルタワー、他にもいくつか面白い作品がある。ちょっと疑問だったのは、前川國男氏の晴海の高層集合住宅http://udf-tokyo.com/weblog/?p=140の模型が出展されていたこと。確かに構造フレームの中に組み込まれた住居群は「メタボリズム」的ではあるが、前川國男氏が「メタボリスト」と聞いたことはない。しかし全体の中でこの晴海の集合住宅が一番良かったように思えた。途中で用事ができてしまい、外部に展示してあったという中銀のカプセルを見損なったのは残念!
■日を変えて乃木坂の「TOTOギャラリー間」の「3.11失われた街展」http://udf-tokyo.com/weblog/?p=1131を見た。会場は学生さんが作った「失われた街」の復元模型が1/500で作成され整然と並べられている。壁には原研哉氏の311SCALEと津波の被害に遭った部分が大きな白地図の上に赤く染められている、それは本当に一部を除き海岸線のごく限られた部分だが、それがあれだけの被害を及ぼしたということに、今更ながら驚かされると同時に、日本の国土の多くが人が住むことが厳しい場所であることを知ることとなった。
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- Published:
- 11.21.11 / 10pm
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- design
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